走り書き

　お腹と頭が痛くてコロンコロンしてます。久しぶりに痛み止めに頼ったよ。
　なんでも顔色が白を通り越して青かったそうで、本気で心配されました。
　でももうほとんど大丈夫。明日には元気になっているはず。…なってるといいなぁ。

少年　なあなあ、あんたたち。こんなところにいるんだから冒険者だよな？　
ノエル　はい、そうですけど……。　
少年　この階にいる追い掛けっこの好きな魔物は知ってるよな？　
トラン　もちろん知ってますよ。あのでっかいカバ！　
少年　この先にも一匹いるんだけど、川はあるわ、ぬかるみはあるわでどうもうまく避けきれないんだ。　
レント　川があるならそれを挟んで逃げればいいのでは？　
少年　泳いで渡ってくるんだよ、カバだから。　
レント　そうか。　
エイプリル　で、お前は俺たちに何が言いたいんだ？　
少年　うん、それなんだけど。俺の頭じゃうまく逃げ切れる道が思い付かないから、あんたたちに連れていってほしいんだ。　
クリス　なるほど。ノエル、どうする？　
ノエル　えっと。どうせあたしたちも迷宮の奥には行くのだから一緒に連れていってもいいんじゃないかなって思います。　
少年　ありがとう！　
トラン　その代わりといってはなんですが、少しばかり尋ねたいことがあるのですが。　
少年　尋ねたいこと？　
トラン　対人関係での必須事項ですよ。……あなたの名前は？　
少年　そういや名乗ってなかったっけ。俺はアガタ、ム……　
トラン　ギルド・ムロツミのシノビ、アガタで間違いないですか？　
アガタ　俺のこと知ってんの？　……俺もいつの間にか有名に　
トラン　違う違う。　
クリス　カナエって女の子が君を探してたんだ。　
アガタ　カナエが……？　
クリス　ああ。星詠み一人で三階に来るのは危険だから宿に戻ってもらった。　
レント　約束だからこの部屋を抜けるのは手伝うが……。　
アガタ　……わかった。いったん宿屋に戻るよ。……でも、抜け道見つけてからでいいよな？　
トラン　そうですね。でないと四苦八苦して魔物を掻い潜る意味がなくなる。　
ノエル　抜け道を見つけたらアガタさんは帰るんですよね。ならあたしたちも一緒に帰りましょう。　
エイプリル　そうだな。こいつがちゃんと宿屋に帰るか見届けるとするか。　
アガタ　いや、ちゃんと帰るって！　
トラン　っていうかエイプリル。疲れただけでしょう。　
エイプリル　いや、違う。……たんに腹が減ったんだ。　

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